2010年1月29日金曜日

市街地建築物法 その2

市街地建築物法の私家版 第二回目

第五條 (用途地域内に規定される建築物の種類)
第二條第一項、第三條及前條第一項ニ規定スル建築物ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第5条
第2条1項(住居地域)、第3条1項(商業地域)、第4条2項(工業地域)に規定する建築物の種類は施行令等によって定める。市街地建築物法施行令の第1条から第3条に定められている。


第六條 (建物の用途)
前四條ノ規定ノ適用ニ付テハ新ニ建築物ノ用途ヲ定メ又ハ建築物ヲ他ノ用途ニ供スルトキハ其ノ用途ニ供スル建築物ヲ建築スルモノト看做ス

前4条の規定の適用については新たに建築物の用途を定め、又は建築物を他の用途に供するときは、その用途に供する建築物を建築するものとみなす。

第七條 (建築線の指定)
道路幅ノ境界線ヲ以テ建築線トス但シ特別ノ事由アルトキハ行政官庁ハ別ニ建築線ヲ指定スルコトヲ得

道路幅の境界線をもって建築線(道路境界線)とする。但し特別の事由があるときは行政庁は建築線を指定することができる。この規定は別途施行令や施行規則により幅員規定と道路後退線の規定もある。その他、水路などがある場合にはその水路等との境界線をもって建築線とされる。

第八條 (敷地の接道)
建築物ハ其ノ敷地ガ命令ノ定ムル所ニ依リ道路敷地ニ接スルニ非ザレバ之ヲ建築スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アル場合ニ於テ行政官庁ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

建築物はその敷地が命令により道路敷地に接しないならば建築することが出来ない。但し特別の事由がある場合で行政庁の許可を得たものであればこの限りでない。現行法と同様に道路に接していなければ建築することが出来ない。が、有効な空地等がある場合などで行政が認めた場合は建築可能である。現行法でいう法第43条但し書きがこれに該当します。

第九條 (建築線越境の禁止)
建築物ハ建築線ヨリ突出シテ建築スルコトヲ得ズ但シ建築物ノ地盤面下ニ在ル部分ハ此ノ限ニ在ラズ

建築物は建築線(道路境界線)より突出して建築することは出来ない。但し建築物が地盤面下にある場合はこの限りでない。

第十條 (建築壁面位置の指定)
行政官庁ハ市街ノ計画上必要ト認ムルトキハ建築線ニ面シテ建築スル建築物ノ壁面ノ位置ヲ指定スルコトヲ得

行政は市街計画上必要と認めるときは建築線に面して建築する建築物の壁面位置を指定することができる。

今回は第10条までアップしました。

2010年1月28日木曜日

市街地建築物法 その1

建築基準法の前身である市街地建築物法を数度に分けて公開していきます。
当時の条文と、現代語訳した私家版ですので、誤りもあるかもしれません。
現代語訳は赤文字にします。
ご容赦のほど・・・

第一回目

市街地建築物法(大正8年法律第37号)
第一條 (用途地域の指定)主務大臣ハ本法ヲ適用スル区域内ニ住居地域、商業地域又ハ工業地域ヲ指定スルコトヲ得

第1条
主務大臣(現在では国土交通大臣)はこの法律を適用する区域内に住居地域、商業地域又は工業地域を指定することができる。この区域内とは旧の都市計画法による都市計画区域を示す。

第二條 (住居地域の建築制限)
建築物ニシテ住居ノ安寧ヲ害スル虞アル用途ニ供スルモノハ住居地域内ニ之ヲ建築スルコトヲ得ス
2 主務大臣必要ト認ムルトキハ住居地域内ニ住居専用地区ヲ指定シ其ノ地区内ニ於ケル住宅以外ノ建築物ノ建築ノ禁止又ハ制限ニ関シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得

第2条
住居地域内にて住居の生活を害するような用途上適さないものは建築することができない。これは市街地建築物法施行令第1条に記載されているが、工場などである。
2項 
大臣が特別に認めた場合には住居地域内に住居専用地区を指定し、その地区内に住宅以外の建築物の建築の禁止又は制限に関して必要な規定を定めることが出来る。


第三條 (商業地域の建築制限)
建築物ニシテ商業ノ利便ヲ害スル虞アル用途ニ供スルモノハ商業地域内ニ之ヲ建築スルコトヲ得ス

第3条
商業地域内に商業の利便を害する恐れのある用途のものは建築することができない。これは市街地建築物法施行令第2条に記載されているが、工場などである。又、住居地域に定めてあるものより規制は緩い。

第四條 (工業地域の建築規制)
工場、倉庫其ノ他之ニ準スヘキ建築物ニシテ規模大ナルモノ又ハ衛生上有害若ハ保安上危険ノ虞アル用途ニ供スルモノハ工業地域内ニ非サレハ之ヲ建築スルコトヲ得ス
2 主務大臣必要ト認ムルトキハ前項ノ建築物ニシテ著シク衛生上有害又ハ保安上危険ノ虞アル用途ニ供スルモノニ付テハ工業地域内ニ於テ其ノ建築ニ付特別地区ヲ指定スルコトヲ得
3 主務大臣必要ト認ムルトキハ工業地域内ニ工業専用地区ヲ指定シ其ノ地区内ニ於ケル工場、倉庫其ノ他之ニ準ズベキモノ以外ノ建築物ノ建築ノ禁止又ハ制限ニ関シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得

第4条
工場、倉庫その他これらに準ずる建築物にて規模の大きなもの又は衛生上有害もしくは保安上危険なものの用途に供するものは工業地域内ならば建築することが出来る。市街地建築物法施行令第3条に記載されている
2項
大臣が必要と認めたときは工業地域内において著しく衛生上有害又は保安上危険は恐れのある用途に供するものについては工業地域内において特別地区を指定することができる。
3項
大臣が必要と認めたときは、工業地域内に工業専用地区を指定し、その地区内における工場、倉庫その他これに準ずるもの以外の建築物の建築の禁止又は制限に関し必要な規定を設けることができる。つまり、工業専用地域内には現在の法律のように住宅などを建築することを禁止することができる法律になっている。

今回は用途地区の種類を書きました。