2014年6月17日火曜日

耐火建築物とは

耐火建築物とは?

耐火建築物や準耐火建築物は、建物全体を表すもので、耐火構造等で主要構造部を構成し、延焼の恐れのある範囲に存在する開口部などを防火設備等にしたものである。

よく、耐火構造と耐火建築物を混同して話をされる建築の専門家もいらっしゃるが、耐火構造は壁や屋根や柱などの部位のことであるので間違えないように。

耐火建築物RC造や現在ではあまり無いがレンガ造、鉄骨に被覆したものが該当する。


木造はようやく平成26年に被覆規定が認められるまでは存在しなかった。
壁や柱など、基本的に60分以上の耐火性能が要求されるものである。

準耐火建築物とは?
準耐火建築物は大きくは2種類、細かくは4種類に細分化されている(平成26年当時)。
一般的に「イ準耐」と「ロ準耐」の2種類、「イ準耐」でも「イ-1」(1時間耐火)と「イ-2」(45分耐火)の2種類。「ロ準耐」でも「ロ-1」(外壁耐火構造)と「ロ-2」(軸組不燃)の2種類で、合計4種類である。

20年以上前から仕事をされている方なら「イ簡耐」「ロ簡耐」の区分があり、昔の図面や確認申請では文字として出てくることがある。今の基準では「イ簡耐」は「ロ-1」、「ロ簡耐」は「ロ-2」の準耐火建築物である。「イ簡耐」を「イ準耐」と勘違いしないように。
(平成5年6月25日改正)

現在のロ準耐でも同様だがロー1では外壁が自立した壁(RCの壁を想定)自立しなければ外壁支持する軸組を1時間耐火とする必要がある。
ロ-2でも軸組・下地を不燃材としなければならないので、木造では現実的に不可能となる。

それにより、「イ準耐」は新設された基準である。(木造の準耐火が出来るように改定されたものである)木造軸組でも被覆や仕上げ材などで45分耐火や1時間耐火が出来れば準耐火を認めることが出来るようになったのである。


イ-1:一時間準耐火構造
(根拠条文:令115条の2の2)
主要構造部(壁、柱、梁、床):告示又は個別認定で決められた一時間準耐火構造とする。

壁は耐力壁:非耐力壁を問わずに1時間耐火である。

屋根・階段:30分準耐火構造

共同住宅、寄宿舎、下宿等で3階建て以上は原則耐火構造としなければならないが、防火地域以外で建てられる場合については一時間準耐火構造でも可能となっている。
ただし、基準は多くなる。

木造3階建て住宅(木3共の仕様)は上記の仕様に避難上有効はバルコニーを各戸に設ける。
3階各住戸に屋外道路から進入できる開口部を設ける。
建物周囲に3m以上の通路を設ける。

市街地では周囲3mの空地は困難ですね。
バルコニーや空地については、ただし書きにて対応も可能ですが、実際は結構大変です。

基準法では木造3階で共同住宅、寄宿舎、下宿等を建てる場合はイ-1しか方法が無いと解釈出来ます。敷地条件など技術的基準が難しいのが難点。


イ-2:45分準耐火構造  
(根拠条文:令107条の2)
 主要構造部(壁、柱、梁、床):告示又は個別認定で決められた45分準耐火構造とする。
屋根・階段:30分準耐火構造(直下の天井や軒裏にも規定が及ぶので注意が必要)

壁:耐力壁は45分、非耐力壁は30分。ただし延焼ライン内は45分が要求される。

2階3階の床はその直下の天井も規定あり。
1階の床については規定なし。

イ-2準耐火(45分準耐火)は最も多く利用される準耐火造です。木造のみでなく鉄骨造でも適用される場合もあります。

注意点として、木造の準耐火(イ準耐に限る)の場合は層間変形角1/150以内としなければならない。確認した図書の添付が必要となる。

準耐火建築物の「防火設計指針(平成5年6月25日)」により、木造軸組工法の場合として「施行令46条に定める必要壁量に1.25を乗じた数値により設計すればよい。」と記載されている。筋かい計算の1.25倍を添付させる審査機関が多いので筋かいギリギリ設計は注意が必要である。


ロ-1:外壁耐火構造 (旧イ簡耐)
(根拠条文:令109条の3第1号)

ロ準耐-1の耐火構造の壁はRC造又はCB造の壁で内部を木造等とした建物であっても外部からの延焼を防ぎ、もし内部から火災があったとしても外壁だけは自立して倒壊せずに残る構造を想定してある。内部火災が発生しても外壁は残る必要があるので非耐力壁の場合でも軸組は不燃材とする必要がある。

この準耐火の想定は、コンクリートブロック造、壁のみ鉄筋コンクリート造、レンガ造などの組積造系の建物と、その昔(現在でも現存しているが)木骨レンガ造や、版築(はんちく)土蔵などの、木造を想定した準耐火構造だが、実態としては自立壁のような敷居の高い構造なので中々採用されにくい。
イ準耐の必要壁量加算だが、ロ-1にて仮に木造とした場合は考慮は不要である。



ロ-2:外壁耐火構造 (旧ロ簡耐)
(根拠条文:令109条の3第2号)
下地軸組に不燃材料を要求されるので原則的に鉄骨造を想定した構造である。

外壁は防火構造、屋根は22条を満たす程度の不燃材で可であり、具体的には3階以上の階の床だけ30分以上の損傷・遮熱性能が要求されるだけなので施工費などを考えても最も一般的に採用されている仕様である。



省令準耐火
建築基準法でなく、住宅金融支援機構が定めた省令(勤労者財産形成促進法施行令第36条第2項及び第3項)に定める基準に適合する住宅をいう。

基準としては
1.外壁及び軒裏が防火構造(建築基準法第2条第8号の規定)のもの

2.屋根が不燃材料以上のもので葺くもの(基準法施行令第136条の2の2に適合するもの)

3.天井及び壁の室内側が通常の火災時の加熱に15分以上耐える性能であること


ファイヤーストップなどは、イ準耐と同様に設ける必要があるが、建築基準法の準耐火に比べると格段に敷居が低くなっている。
又、この建物はフラット35融資を受ける住宅に限定されて使用できるものである。

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