2014年6月19日木曜日

耐火仕様の注意点

耐火構造に求められる性能の定義として、次の3種類がある。

非損傷性
構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないこと。
構造耐力上主要な部分である耐力壁、屋根、床、柱、梁、階段などに求められるものである。建物を崩さないことが目的であり、要は崩れてしまうと困る部分に適用される。
そのような訳で、非耐力壁の間仕切り壁には求められていない。

遮熱性
加熱面以外の屋内側の表面温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないこと。
壁(内外・間仕切り壁も含む)、床、軒裏などの屋内平面を構成する部分などに要求される。
外部からの熱を内部に伝えない目的なので内部を囲う平面的要素に用いられる。

遮炎性
屋内で発生した火災が、屋外に火炎を出すのを防ぎ、火災による損傷、亀裂を生じさせない。
屋外へ影響を出さないように設けられるものであり、外壁、屋根、軒裏など外周部に要求される。


部位ごとに求められる性能が異なる。内部間仕切りである防火区画には遮炎性は要求されない。
遮熱性についても極端ではあるが、外壁であっても屋内側にしか要求されない。

そこで、気をつけなければならないことがある。
防火区画とスパンドレルの関係性である。

スパンドレルとは面積区画などを設けた場合、火災が回り込まないように、外壁部分に900mm以上設ける折り返しのことである。1500㎡区画などの防火区画に要求されるものだ。

間仕切り部分に連続して設けるものであるので、間仕切りの仕様と同じもので設けやすいのだが、外壁と間仕切りでは求められる性能が異なる。なので間仕切りとして認定を受けているものが必ずしも外壁に使用できるとは限らないのである。

外壁部分のスパンドレルは非損傷性のある耐火・準耐火仕様が要求されるので、間仕切りとして認定されているものは使用できない。

認定番号でいえば、NPの符号のもの(非耐力壁の間仕切り壁の略記)はスパンドレルには使用できないのである。

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