市街地建築物法施行令 私家版5回目
第4條(地域による高の制限)
建築物ノ高ハ住居地域内ニ於テハ六十五尺(20メートル)ヲ、住居地域外ニ於テハ百尺(31メートル)ヲ超過スルコトヲ得ズ但シ建築物ノ周圍ニ廣潤ナル公園、廣場、道路其ノ他ノ空地アル場合ニ於テ行政官庁交通上、衛生上及保安上支障ナシト認ムルトキハ此ノ限ニ在ラス
住居地域は高さ20m未満、住居地域以外では高さ31mを超えてはならない。但し建築物の周辺に公園、広場、道路その他空地がある場合で行政が交通上、衛生上及び保安上支障がないと認めた場合はこの限りでない。
第5條(構造による高の制限)
煉瓦造建築物、石造建築物ハ高六十五(20m)尺ヲ、木造建築物ハ高五十尺(15m)軒高三十八尺(11m)階數三ヲ、木骨煉瓦造建築物及木骨石造建築物ハ高三十六尺(10.5m)軒高二十六尺(7.8m)ヲ超過スルコトヲ得ス
後に下記のように改訂される
煉瓦造建築物、石造建築物及木造建築物ハ高13メートル、軒高9メートルヲ、木骨煉瓦造建築物及木骨石造建築物ハ高八メートル軒高5メートルヲ超過スルコトヲ得ズ
レンガ造、石造(組積造)、及び木造建築物は高さ13m、軒高9mを超えてはならない。木骨レンガ造、木骨石造は高さ8m、軒高5mを超えてはならない。当初の大正期に高さ制限を設けたときの規定ではレンガ造、石造は20m、木造は15m軒高11mなど、規制は緩かったのだが、関東大震災以降、規制強化されて高さ制限が厳しくなっている。
2 前項ノ石造ニハ人造石及「コンクリート」造ヲ木造ニハ土蔵造ヲ包含ス
2項 前項の石造にはブロック造及び無筋コンクリート造を、木造には土蔵造りを含める。
3 第1項ノ木骨煉瓦造建築物トハ厚三寸(後に10センチメートル)以上ノ煉瓦積ヲ以テ木骨ヲ被覆又ハ填充シテ外壁ヲ構成スルモノヲ謂ヒ木骨石造建築物トハ厚三寸(後に10センチメートル)以上ノ石、人造石又ハ「コンクリート」ヲ以テ木骨ヲ被覆又ハ填充シテ外壁ヲ構成スルモノヲ謂フ
3項 第1項の木骨レンガ造建築物とは厚さ10cm以上のレンガ積みをもって木骨を被覆又は充填して外壁を構成するものをいい、木骨石造建築物とは厚さ10cm以上の石、ブロック又はコンクリートをもって木骨を被覆又は充填して外壁を構成するものをいう。
4 1建築物ニシテ外壁2種以上ノ構造ヨリ成ルモニ付テハ第1項ノ規定ノ適用ニ関シ制限ノ最厳ナルモノニ依ル
4項 1つの建築物で2種類以上の外壁で構成されるものについては第一項の規定に関して最も厳しいものを適用する。つまり、木骨レンガ造を一部でも構成すれば高さ規定は最高で8mとすることになる。
第6條(高及び軒高の定義)
前2條ニ規定スル建築物ノ高トハ地盤面ヨリ建築物ノ最高部迄ノ高ヲ謂フ
前2条に規定する建築物の高さとは地盤面より建築物の最高部までの高さをいう
2 前條第1項ノ軒高トハ地盤面ヨリ建築物ノ外壁上端迄ノ高、外壁上端ニ扶欄、扶壁又ハ軒蛇腹アルトキハ其ノ最高部迄ノ高、出軒ノ場合ニハ軒桁上端迄ノ高ヲ謂フ但シ切妻ノ部分ハ軒高ニ之ヲ算入セズ
前条第1項の軒高とは地盤面より建築物の外壁上端までの高さ、外壁上端に手すり、(扶欄とは手すりのこと)、パラペット(扶壁とはバットレスのような支壁も同じ意味だが、この場合はパラペットの立ち上がりを示す)軒蛇腹(これは軒先に石や銅板製で作成されたモール状の飾りのようなもの。コーニスなどと呼ばれる帯)あるときはその最高部の高さ、出軒(通常の軒先)の場合には軒桁上端までの高さをいう。
ただし、切り妻の部分は軒高として算入しない。モヤ、棟木などは軒高にはならない。
3 前2項ノ地盤面ニ高低アルトキハ行政官庁其ノ地盤面ヲ認定ス
前2項の地盤面に高低差がある場合は行政が地盤面を認定する。現在の建築基準法の取り扱いは明確なものがありますが、この時代は行政判断だったんですね。
今回は第4条から第6条まで記載します。
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