市街地建築物法施行令の解釈をアップします。
あくまで私家版ですので、間違いがあるかもしれません。
市街地建築法施行令
第1條 (住居地域内の禁止用途)
1 建築物左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ住居地域内ニ之ヲ建築スルコトヲ得ズ但シ第一号乃至第四号ニ該当スル建築物ニシテ行政官庁住居ノ安寧ヲ害スル虚ナシト認ムルモノ又ハ公益上己ムヲ得ズト認ムルモノハ此ノ限ニ在ラズ
住居地域内には次の用途のものは建築することはできない。ただし、一号から四号に該当する建築物で行政が住居地域にふさわしいと認めた場合はこれに限らない。
一常時使用スル原動機馬力数ノ合計3ヲ超過スル工場
常時3馬力以上の原動機を使用する工場
1馬力=0.736Kwなので、2.2Kw以上ですね。
ニ 左ニ褐グル事業ヲ営ム工場
次の事業を営む工場ここに記載されている内容は市街地建築物法改正後のもので、当初は別途施行規則により定められていました。
イ 玩具用普通火工品ノ製造
がん具用花火の製造工場
ロ「アセチレンガス」ヲ用フル金属ノ工作(溶解「アセチレンガス」ヲ用フルモノヲ除ク)(ち)
アセチレンガスを用いて金属加工をする工場
ハ 引火性溶剤ヲ用フル「ドライクリーニング」又ハ「ドライダイング」(ら)
ドライダイングって何でしょう?意味不明です。ネットで検索しても判らなかったです。ダイングだから死んでるの?ということはミイラ製造業?
ニ 「セルロイド」ノ加熱加工又ハ鋸機ヲ用フル加工
セルロイドとは最近あまり見かけませんですね。これ、結構可燃性があるので危険だったのです。
ホ 印刷用「インキ」又ハ繪具ノ製造(ち)
インク、絵の具の製造工場
ヘ 塗料ノ吹付卜 亞硫酸「ガス」ヲ用フル物品ノ漂白(ち)
ガスを利用する漂白工場は危険ですね。
チ 骨炭其ノ他動物質炭ノ製造
骨炭などの動物性活性炭、ろ過材の製造工場
り 羽又ハ毛ノ洗滌、染色又ハ漂白
毛・羽の漂白、染色工場
ヌ 襤褸、屑綿、屑紙、屑絲、屑毛ノ類ノ消毒、選別、洗滌又ハ漂白
襤褸(らんる)、クズわた、クズかみ、クズいと、などの消毒、洗浄漂白工場
「ボロは着てても心は錦」って歌があったと思いますが、元来は襤褸=ボロだと解釈していただいたら良いでしょう。
ル 製綿、古綿ノ再製、起毛、反毛又ハ「フエルト」ノ製造ニシテ原動機ヲ用フルモノ
綿の再生してフェルトなどに加工場で原動機を使用する工場
ヲ 骨、角、牙、蹄、貝殻ノ挽割若ハ乾燥研磨又ハ金属ノ乾燥研磨ニシテ原動機ヲ用フルモノ
骨や貝殻類の研磨加工工場
ワ 鉱物、岩石、土砂、硫黄、金属、硝子、煉瓦、陶磁器、骨又ハ貝殻ノ粉砕ニシテ原動機ヲ用フルモノ
カ 墨、懐炉灰又ハ煉炭ノ製造
墨、カイロ灰、練炭の製造工場
ヨ 活字又ハ金属工藝品ノ製造(ち)
活字又は金属工芸品製造活字製造ってところが時代を感じます。
タ 瓦、煉瓦、土器類、陶磁器、人造砥石、坩堝又ハ琺瑯鉄器ノ製造(ち)
レ 硝子ノ製造又ハ砂吹
ソ 動力槌ヲ用フル鍛冶
動力を使うと不可ですから、動力を使わない昔ながらの鍛冶屋なら住居地域でも可能と解釈できますね。
三 室面積ノ合計50平方メートルヲ超過スル自動車ノ車庫
床面積50m2を超える自動車車庫
四 劇場、活動写眞館、演藝場又ハ観物場
劇場、映画館など。活動写真館など、時代を感じますね。で、ここまでの用途なら許可次第で住居地域でも建築可能でした。
五 待合又ハ貸座敷
待合や貸座敷などは現代ではピンときませんが、これは風俗営業です。この時代はハッキリした売春行為が黙認されていました。(原則は売春行為は禁止だったのですが、実態は・・・)
六 倉庫業ヲ営ム倉庫
倉庫業を営む倉庫
七 火葬場又ハ産穢物処理場
火葬場はわかりますが、産穢って解りますか?「さんえ」と読みます。文字で連想するように出産時に出たもの(後産)を処理する場所ということです。
八 屠場又ハ死畜処理場
九 塵芥又ハ汚物ノ処理場
十 前各号ニ掲グルモノヲ除クノ外行政官庁住居ノ安寧ヲ害スル虜アリト認メ命令ヲ以テ指定スルモノ
8号9号は説明の必要ありませんね。10号についても行政が生活を害する恐れがあると認めた場合は不可とする。これも当然です。
これらは施行細則などでも詳しく記述ありました。そのうちそちらもアップできればいいですが、気長に待っていてください。
今回は長い条文なので、第一条のみのアップです。
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